| 2001年の5月にはじめて日本でも紹介され、その独特の「風のような音楽」で多くのファンを魅了している、ハワイのアコースティック・ギター・ユニット、コハラ。
早いものでこの作品が4作目のオリジナル作品ということになる。
ただし、今回のアルバムはコハラのニュー・アルバムというよりは、コハラ&フレンズ、すなわちコハラと同じメンタリティー/アロハ・スピリッツの持ち主が集って作り上げたアルバムである。
ハワイの音楽でありながら3本のアコースティック・ギター、しかもスラック・キーを使用しない編成のインストゥルメンタル・ユニットという、極めて異色の存在であったコハラが、その特徴を全く損なうことなく、ヴォーカルを取り入れ、進化した形を提示した作品ということで非常に興味深い。
この原稿を書いている時点で、手元にはアルバム全11曲中、完成した3曲が届いているが、この3曲を聴くかぎりコハラ特有のアレンジは生かされており、ヴォーカルが入っても「風のような音楽」であり続けている。
コハラ&フレンズと一口にいってもここには実に多彩で才能あふれるミュージシャンが集まっている。ざっと紹介しておくと、まずシスター・ロビとして日本のファンにもおなじみのシンガー、ロビ・カハカラウ、ハワイの大御所中の大御所、ジャワイアンの父との異名を持つブラザー・ノーランド、カラパナの中心メンバーでソングライターのマラニ・ビリュー、シーウィンドの歌姫として根強い人気を誇るポーリーン・ウィルソン、ウクレレの名手ジェイク・シマブクロ、変わり種では「白い色は恋人のいろ」の大ヒットで知られるベッツィー&クリスのベッツィーの名前もクレジットされている。
これほど多彩なメンバーが、チャールズ・マイケル・ブロットマンのアレンジのもと、コハラの色に染まって奏でる究極のなごみ音楽がここに詰まっているというわけだ。
アルバムのタイトルは「ララバイ」。タイトルが示す通り、収録された11曲はすべて子守歌。
ハワイでよく歌われている子守歌に加え、ルイ・アームストロングのヒットでおなじみの「ワッタ・ワンダフル・ワールド」や、ディズニー・アニメの大傑作「ピノキオ」の主題曲であり・アカデミー賞受賞曲でもある「星に願いを」、さらには梓みちよのヒット曲「こんにちは赤ちゃん」(この曲はインスト曲として)までが、チャールズ・マイケル・ブロットマンのマジック・アレンジが施されている。
その他の曲はハワイの子守歌で、M3の“プエロ”というのはフクロウのこと。すなわちこの曲は“フクロウが飛ぶころ”ということになる。また、M10の“ホヌ”とは亀のこと。
フクロウと亀はハワイの子供たちにとっては最もポピュラーな動物なんだそうだ。子供のころから子守歌でうたわれていたことが、この二つの動物の認知度を上げたのだろう。M9の“ケイキ”というのは子供という意味だそうだ。
さて、コハラ&フレンズによる「ララバイ」。子守歌をレパートリーにしているアルバムではあっても、決して子守歌に用途を限定されるものではない。子供にとって安らかな眠りを誘う音楽というものは、当然のことながら大きな安心感に包まれたものである。
それは、眠るという行為だけではなくて、大いなる安らぎを感じさせてくれる、こころを震わせてくれる音楽でもある。日本の伝統の子守歌はマイナー調のメロディが多く、陰々滅々とした雰囲気が漂うものが少なくないが、ハワイの子守歌は実にさわやかだ。だから、僕たちは、これを母が子供に歌って聞かせる子守歌として聴くのではなく、母なる地球が僕たちを優しく包み込んでくれる“慈愛の歌”として聴くと良い。その時人々のこころは、限りなく安らかなものに包まれるはずだ。
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