2006年9月にスウェーデンのトップミュージシャンとの共演で制作されたCD「キュービウム」で注目のデビューを飾った西山 瞳。ヨーロッパジャズに大きく影響を受けた叙情的で美しいメロディーを持った彼女の音楽は瞬く間に多くのジャズファンの心を奪い、広く注目される存在となった。翌年の2007年7月には日本人として初めて「ストックホルム・ジャズフェスティバル」に出演、そのスウェーデントリオでセカンドアルバム「メニー・シーズンズ」のレコーディングを行い。更にストックホルムで最も人気の高い「グレン・ミラー・カフェ」に於いて2日間に亘る現地ミュージシャンとの演奏とそのライブレコーディングを行うなど精力的な活動を繰り広げてきた。
国内外でさまざまな経験を積む中でその音楽性を磨き上げてきた彼女の待望の4枚目のアルバム完成である。今回の作品「パララックス」は彼女の日本レギュラーメンバーによる初録音作品である。「パララックス」とは写真用語で「視差:観察位置による対象物の変位」という専門用語。ピアノ、ベース、ドラムスの3者が織りなす音の世界は繊細なチームプレイによって構成・アレンジされ、聴く視点によって様々な表情を見せてくれる。3者のみずみずしい感性によるインプロヴィゼイションが大きな聴き所で、レギュラーメンバーならではの息の合ったプレイと若々しいエネルギーに溢れ、5拍子、7拍子などを駆使したスリリングな演奏が楽しめる作品となった。
ドラムスの清水勇博は人気クラブジャズユニットの要としても活躍。ベースの坂崎拓也は関西の若手を代表するプレイヤーの一人。トリオ全員が20代という若さで新たな日本のジャズの幕開けを告げるユニットである。今作品ではゲストギタリストとして2005年ギブソンジャズギターコンテスト最優秀賞受賞者の馬場 孝喜が2作品にフィーチャーされ、新たな西山 瞳の世界を創りあげることに寄与している。
本作品で西山はジャズファンの間ではハービー・ハンコックが愛用することでその名が多くの人に知られることになったイタリアが誇るピアノ、ファツィオーリを弾いている。ファツィオーリを持つホールは日本全国でも滋賀県にあるさきらホールのほか3ヶ所しかなく、彼女はこのホールに捧げる“SAKIRA”という曲を「メニー・シーズンズ」に吹き込んでいるが、今回の日本での録音に際して迷うことなくさきらホールを録音場所に選らんだ。ライブさながらに加工することなく録音された音は極めて自然でアコースティックな音色が魅力的な作品に仕上がった。近年クラシックの名ピアニストの多くが好んで弾く名器ファツィオーリのまろやかで艶やかな音色を楽しむことが出来る作品としても注目を集めることだろう。
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