これまで3人のスウェディッシュ・ビューティーを聴いてきた人には、予期せぬキャラクターの出現であり、一方で待ってましたの声も上がりそうなアンナ、才色兼備もここまでくるとぐうの音も出なくなる感じがある。1曲目から、ナンシー・ウィルソンやチャカ・カーンなどをお気に入りにしてきたことがよく分かるが、その次に二重写しのように浮き出てきたのは、僕にはナタリー・コール。エモーショナルなのに雑味と絶縁し、力強さと優しさがきめ細やかに溶けた利発さと能弁さ、さて、これが本当に「いつの間にかどこかでできあがっていた」なら一大事だ。
しかもそのマナーで、ジャズ・スタンダードに限らず、ボブ・ディランやレナード・コーエンの図の中に入っていくから参る。もっとも、母国語で歌う〈友の唄〉あたりまで聴き進めればどうだろう、歌の美形が二重写しからはずれ、立派な「個」のプロポーションになって現れる。これではピアノのヤン・ラングレンや、ベースと編曲のパトリック・ブーマンらも、総力を上げるほかなかったろう。
成田 正
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